

なぜ誰かと交際するときに契約書を作る人がいないのか
ネタでよく弁護士は、誰かと交際しようとするときに契約書を作成するとかいう話があります。 しかし、私の周りで、誰かと交際するときに契約書を作ったという人はいませんでした。 誰かと交際することも、立派な合意です。なぜ契約書をつくらないのでしょうか。 「恥ずかしい」「風情がない」「信頼していないと思われるから」というところはあるのですが 法律的な部分で大きな理由は、ずばり「揉めてもお金の問題が発生しない」からなのです。 通常の取引では、取引を解消するとき、どうしてもお金の問題が発生します。特に相手が契約違反をした場合、損害賠償を求めることとなります。 しかし、恋愛では、別れてしまったとき、たとえ浮気をされたとしても、別れてしまえばそれで終わりで、損害賠償請求をするような人がほとんどいないといえます。 通常はお金の問題が発生しないからこそ、契約書を作るような人がいないのです。 ただ、これはあくまで「通常」の場合です。 「婚約」にまで発展してしまえば、損害賠償の問題となりますので、やはり契約書か、契約をしたことの証拠(結納)は作っておくべきなのでしょう。ま


自社のひな形は「定形約款」にあたる?
民法改正が行われようとしています。 その中の目玉の一つが「定形約款」に対する規制です。 定形約款に該当すると、たとえ相手が事業者であっても、消費者契約法10条と同様の規制、つまり ア)相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する条項で、
イ)その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害するもの は、「合意をしなかったもの」とみなされ、拘束力は生じません。 ところで、自社で、基本的に修正を想定していない「ひな形」を使っているという企業は多いかと思います。 これは「定形約款」に含まれるのでしょうか。 答えは「いいえ」です。 ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものを「定形取引」といいます。 この「不特定多数の者」というのは、相手方の個性に着目しない、つまり「誰であっても同じ」ものでなければなりません。 たとえひな形を使うとしても、修正に全く応じないと言い切れるかといえば、そうではないですよね?そのた


給与の立て替えシステムは貸金業法になるのか
賃金の前払いシステムが最近注目されています。 貸金業法は、これまで、会社から従業員への貸付けについては、貸金業法の対象外としてきました。貸付けといいながら、給与の前借りでもあるからです。 給与の前借りは、計算がとても面倒で、これまでも敬遠されてきました。 しかし最近、給与前払いについて、第三者企業に委託をして簡単に行えるようにし、福利厚生の一つとして利用されてきました。 最近だと、さくら情報システムの「即給」などが有名ですね。 https://www.sakura-is.co.jp/solution/ps-000-038.html ただこれ、実質的に貸金業法に反しないのでしょうか。 会社から従業員への純粋な貸付けであれば、貸金業法の対象外となります。 これを、第三者のシステムを使ったからといって、その貸付けの性質が異なるわけではないので、貸金業法には違反しないでしょう。 問題は、前払いするお金が、そのシステムを供給している企業で用意しているような場合です。 その場合、システムを供給している企業が、会社に対して、お金を貸している構図となってしまいま


契約書に実印は必須なの?
日本の契約書には「本契約が成立したことを証するため、当事者の署名押印をして保管する」という記載が多いです。 ところで、この「押印」は実印でなければならないのでしょうか。 答えは、「実印でなくてもよい。ただ実印だと安全」ということになります。 もっと言ってしまうと、契約書の成立のためにはハンコがなくてもよいのです。 先に、どういう形でトラブルになるかを話させてください。 典型的には 「こんなもん、会社の代表が押すわけがない」という形で、作成者が誰なのかを争われてしまうというトラブルです。 このとき、実印、つまり印鑑証明が出ている印鑑でハンコを押していたなら、「代表の人以外、これを押すことなんか難しかったでしょ?」と言って、トラブルをすぐに収束させることができるのです。 つまり実印はメリットとして、「その契約をしたのがその人なんだ!」と言いやすいというところにあります。 認印でも、そのような機能がないわけではないです。ただ、たとえば100均で購入したものでもよく、それは誰でも押すことができますよね?だから仮に「これは私が押したものではない」と言われて

利用規約って必要なんですか
よくわからない利用規約。そもそも利用規約は必要なのでしょうか。