契約書チェックのコツは、変更してそうなところを探ること
契約書チェックのコツの話をします。 実は、多くの契約書には、「元ネタ」があります。 それは、ひな形であったり、さまざまです。 そして、契約書チェックで多くの弁護士がしているところは、その元ネタと違う部分を探すことなのです。 ひな形のままであれば、全体の雰囲気が統一されているのですが、多くの場合、それをいじるわけなので、独特の表現や、取引に合致しない話など、さまざまな支障が生じています。 弁護士の契約書チェックも、実は、この違和感に気づき、重点的にチェックすることが大切だと思っています。 弁護士 杉浦智彦 #契約書 #チェック #コラム
クラウドファンディング運営会社が破産するとどうなるのか
先日のクラウドファンディングの記事のつづきです(すこし間が空きました) クラウドファンディングは、投資型の規制を逃れるために、「購入型」という、売買の先払いを応用したスキームが開発されました。 購入型の運営会社が破産した場合、非常に悩ましい問題があります。 金融商品取引業の規制があれば、預かったお金の分別管理などが要請されますが、それを逃れているわけですから、分別管理なんかしていないわけです。 そのため、運営会社が破産したら、その損失を、投資家と、お金を集めようとしている企業とで、押し付け合うことになります。 ただ、売買の原則で考えた時、解除をして、売り主である企業に先払いした代金を払うよう求められるのか、 それとも、まだ受け取っていないから、企業は返済しなくてもよいのか。 さらに、実際のところは投資なので、投資家がそのリスクを負うべきなのかなど・・・。 リスクの分配は非常に難しいといえます。 規制逃れのため、いろんなスキームが開発されますが、どこかで支障が生じることがおおいのも事実なのでしょう。 弁護士 杉浦智彦
契約書の押印をPDF上でやってもよいのか
契約書の押印をPDF上でやることも多くなってきました。 私も、Acrobatのスタンプシステムで、職印データをつかって、スタンプを押すことも多くなってきました。 ところで、とくに海外など遠方の取引の契約のとき、契約書締結の方法として、スキャンデータのやり取りが増えてきました。 その中で、電子上で押印することも有効なのかという話をいたします。 実は、押印がなくても契約は有効に成立します。 あくまで押印は、「権限ある人が内容を読んで押したんだ」ということを証明するために要求されているにすぎないのです。 その点では、PDF上で、データで押印したかのように見せるのも、法律的には問題がないのです。 ただ、本当にその権限がある人が押印したか分からないわけですから、これまで取引をしたことがない人との取引だったり、ロットが大きい取引の場合は、避けるのも一つのリスク判断なのかもしれません。 弁護士 杉浦智彦 #契約書 #印 #PDF


アイドルに恋愛禁止させることにも、意味はあるのでしょうか。
タイトルの「意味はあるのです」というのは、最近、デイリーポータルZのYoutubeで配信されている、ブッダ物語のパロディです。 AKBグループの須藤凛々花さんという方が、先日のAKB総選挙で結婚宣言をしました。 このとき、多くのファンが「恋愛禁止なんじゃないのか」と煽っていました。 ただ、よく考えてみれば、違反者続出のルールではあったわけです。 峯岸さんの坊主とかも、そうですよね。 このアイドルの「恋愛してはいけない」ルールには、2つの東京地方裁判所の裁判例があります。 一つは、H27.9.18に出されたもの、もう一つがH28.1.18に出されたものです。 一方は、会社側が勝ち、(数十万円レベルですが)、それなりの損害賠償請求が認められました。 もう一つは、アイドル側が勝ち、損害賠償請求は否定されました。 まあ、そんなわけで、実はこのルールが法律上有効なのかについては争いがあるわけです。 でも、このルールは、(仮に法律上有効ではなくても)2つの点で大きな意味があるのです。 一つは、ファンがアイドルに執拗にくっつくことを防止できる機能です。 「私、
クラウドファンディングとは何か
さいきん、流行しているクラウドファンディング。 ネコも杓子もクラウドファンディング。 昨年、キングコングの西野さんが、絵本の個展をするための資金調達に使われました。 でも「クラウドファンディング」とはそもそも何なのかわからない人も多いのでは? 今回は、クラウドファンディングの解説をいたします。 クラウドファンディングとは、大衆(Crowd)と資金調達(Funding)を合わせた用語で、大衆からお金を集める手段であれば、なんでもクラウドファンディングと呼んでよいのです。 実はクラウドファンディングには3パターンがあります。 一つ目は、お金を借りたり出資してもらったりする「投資型」 二つ目は、お金を寄付してもらう「寄附型」 しかし、投資型は、株式のようなもののイメージで、金融商品取引法という法律の規制対象となる関係で、運営会社がほとんどありません。 ただ、ビジネスとして、寄附でお金を集めるのは難しいという人たちのため、第三類型となる「購入型」という方法が編み出されました。 購入型というのは、要するに、購入代金の先払いでお金を集める方法です。 物を完成
事業を引き継ぐ場合は必ず契約書を
最近、事業承継もよくやるようになりました。 事業承継で思うのは、個人事業主の事業承継が難しいということです。 よく、飲食店であるのですが、ある場所で、うまいこと販売できている企業があって、それをやってみたいという形で、後継者が現れるようなことがあります。 これ、本当に揉めます。 そもそも、個人事業主が売上を上げている理由は、商品もさることながら、その事業主の魅力みたいな部分が大きかったりします。 そのため、商品の作り方だけを伝えても不十分なのです。 きちんとこのひとが後継者だと、先代経営者も伝え、最低半年は一緒に事業を行い、お客様に「あ、この人が後継者なんだ」と思ってもらうようにしなければなりません。 ただでさえ、売上がおちるので、イライラするわけですが、こういう個人事業主の事業譲渡は、多くの場合、契約書もなく引き渡します。 だから、「教えてくれると言っていたのに、教えてくれない」「これだけ最低売上あがるといっていたのに、売上があがらない」「詐欺だ」などとトラブルになるのです。このトラブルを終わらせることができるのは、事前に作成された契約書だけで
個人情報保護法対策はウイルスソフトの導入から
個人情報保護法対策をする上で、実は大切になるのは、個人情報の保管方法というよりも、ウイルスソフトの導入だったりします。 情報の漏えいの多くは、人のミスか、他社からの攻撃で発生します。 そして、現代社会で、リスクが大きいのは、パソコンのウイルスによる他社からの攻撃なのです。 簡単にウイルスソフトで対策できるのですが、実はウイルスソフトを導入していない企業が多いように思います。 「そうはいってもお金もかかるし・・・」と思われているかもしれません。 ただ、現在は、WindowsをつくっているMicrosoftでさえ、無料のウイルスソフトを(基礎的なものではありますが)用意をしており、これを使わない手はありません。 どうしたらよいか分からなくても、弁護士がアドバイスいたします。 お気軽にお声がけください。 その他、個人情報保護法対策も弁護士まで。 弁護士 杉浦智彦 https://keiyaku-check.pro/kojinjoho #個人情報保護法
「社債の少人数私募」は使える
専門用語ばかりがでてくるタイトルで恐縮です。資金調達の話です。 さて、企業がお金を集める方法として、銀行や信用金庫などの金融機関からの借り入れ、出資を受けて株式を渡すなどの方法があります。 ただ、たとえば、懇意にしている取引先がお金を出してくれるような場合、株主にしてしまうと、安定してお金を返せない(あくまで持分権者で、お金の貸し借りではない。配当できないことも考えられます。)自体が発生します。 そこで使えるのが「社債」というものです。 株式会社であれば社債を発行できます。 社債というのは、「社債券」という有価証券を発行し、お金を集める方法です。 社債は、株式のように、議決権はない一方、お金の借り入れ同様、定期的な返済を求められ、完済とともに権利がなくなります。 ただ、借り入れそのものではないので、貸金業法の登録は不要なのです。 社債は、有価証券を発行するものなので、通常であれば、金融庁・財務局への届出などが必要となったりします。 ただ、50名未満に対する発行で、かつ合計1億円未満の資金調達であれば、「少人数私募」といいまして、金融庁・財務局への
事業者サポートマガジン発刊
昨日、日本政策金融公庫が発刊している事業者サポートマガジンに、私の執筆した記事が掲載されました。 タイトルは 経営お役立ち情報 ~経営Q&A
「事業者のための法律相談」~ 「契約書の作成時における留意事項」 になります。 こちらは、無料のメールマガジンで、登録すれば毎月配信されます。 法律情報だけではなく、経営者にとってのお役立ち情報が満載です。ぜひ登録してみてください。 登録はこちら 弁護士 杉浦智彦 #契約 #執筆
起業家2名で会社を起こすのは難しい
タイトルは、最近思っていることです。 起業家2名で仲良くスタートアップしている企業は多いのですが、 多くの事例で「思ったのと違う」ということで、仲違いが起こります。 そのとき、はじめから弁護士の指導がない状況だと、にっちもさっちもいかない「デッドロック」となることも多いです。 儲かっているところでも、儲からないところでも、どちらが残り、どちらが出ていくのかなど、非常に悩ましい問題が発生します。 たとえば株式。 半分ずつもっている場合は、対立してしまうと、何も決められなくなってしまいます。 過半数の決議がなければいけないのに、それさえできなくなります。 平等を目指すのは良いことなのかもしれませんが、いざというときに備えて、51対49にしておくなど、細やかな配慮は必要になるかもしれません。 いずれにせよ、弁護士の関与があったほうが安全です。 お気軽にお問い合わせください。 弁護士 杉浦智彦 https://keiyaku-check.pro #創業時