なぜ英文契約では約因(in consideration of~)を入れることが多いのか
英文契約では、Whereas Clause(経緯)のところで、約因(Consideration)を入れることが多いです。 約因とは、契約における対価のようなものです。 なぜ盛り込まれているかといえば、英米法上、原則として約因がないと契約が成立しないという考え方があるからです。 これが実務上問題となるのは、途中で契約を一方に有利に変更するような場合です。 変に修正をすると、有利に変更した部分に約因がないとして、無効と判断されることもあるのです。 英米法の概念ではあるので、日本では適用されないのですが、アメリカなどではそのように判断されるので、注意が必要です。 弁護士 杉浦智彦 #約因 #英文契約書
交渉は、相手をいかに思いやるかで決まる
かつて、大学時代に、インターカレッジ・ネゴシエーション・コンペティションという大学対抗の交渉大会で準優勝をしたことがありました。 私自身、それほど交渉が好きかといわれると、そうではありません。 ただ、交渉のコツとして言われているものが1つあり、それをずっと実践していました。 それが「相手をいかに思いやるか」というところです。 交渉は、結局「自分にとって有利な結果を得られるか」というところになります。 交渉している人が、会社に「良い結果を持ち帰れました!!」と胸を張っていえるようなものでなければならないのです。 とくに、長期的な取引が予想されるようなときに、はじめからハードネゴをするのは得策ではないように思います。 相手が何を望んでいるか、「自分」ではなく「相手」の望むものを提供することで、自ずと自分の獲得目標が得られることが多いように思います。 弁護士 杉浦智彦
専門家に優しいアガサ・クリスティー
最近、事務所代表のセミナーでいい話を聞いたのでシェアします。 アガサ・クリスティーの名探偵ポワロの話です。 作品名は「ポアロ登場」に掲載されている「なぞの遺言書」です。 これは、金持ちだけど教育に意味を見出していないおじさんの遺産と、その姪(高等教育を受けた女性)の話なのですが、おじさんが、「高等教育を受けた成果を見せることができたら、遺産を姪にあげる」という話をし、高等教育を受けた姪っ子が、すぐにポアロを頼って謎をとくという話です。 ここで、「ズルなんじゃないか」というツッコみに、ポアロが返したコメントが秀逸なのです。 「ミス・マーシュ(注:姪)は、すぐにこの問題をぼくに任せたことによって、機転が利くということと女性が高等教育を受けることの価値を証明したんだからね。どんなときも、専門家に任せるべきなんだ。彼女は、この遺産を受け取る権利のあることを十分に証明したよ」 生兵法は怪我の元といいますが、わからないことを専門家に頼ることが高等教育の成果なのかもしれません。 弁護士 杉浦智彦
残業代未払いは裁判になって晒されるリスクが高い
外国人留学生に法定時間を超える長時間労働をさせたとして、入管難民法違反(不法就労助長)の罪に問われた飲食店「串かつだるま」の運営会社「一門会」(大阪市)と店舗統括部長、Y被告人(38)の判決が26日、大阪簡裁であり、罰金刑となりました。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H3A_W7A720C1CC0000/ 罰金刑が科せられるパターンには2パターンある。 一つが、略式起訴といって、非公開で裁判がなされるものである。 もう一つが、通常の起訴の結果の罰金である。 検察官が起訴権限があるのだが、略式起訴については、簡易裁判所の裁判官が、不相当として正式裁判に載せる権限がある。 いままで残業代の未払いでも、電通や「コノミヤ」など、案件が重かったり、複数回繰り返しているようなものであれば、検察官が略式起訴の判断をしても、結局正式裁判になっている。 検察庁よりも裁判官のほうが、残業代に対する意識が高いといえる。 そのため、ひっそりと解決したいと思う企業にとっては、刑事事件が進行する前に、すみやかに弁護士を入れて
シェアリングエコノミーと兼業禁止の難しい問題
シェアリングエコノミーと、会社の兼業禁止との間には、非常に難しい問題があります。 物やサービスをシェアしてお金をとることは、やはり「副業」と捉えられるからです。 ここで、最近改訂された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」に、一応のルールが記載されています。 1.考え方
(1)就業規則に兼業禁止規定が設けられている場合
①兼業禁止規定の効力
判例の傾向を前提にすると、すでに株式会社や各種法人、団体(以下、労働者を雇用す
るものを総称して「使用者」という。)で働いている人が、兼業としてシェアリングエコノミーサービスを通じて収入を得ることは、就業規則で兼業が禁止(あるいは事前許可を要することと)されていたとしても、その兼業の内容が、使用者の経営秩序又は労務の統制を乱すおそれがない場合や、使用者への労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度である場合には、当該兼業禁止規定の効力が及ばないと考えられる。
使用者の経営秩序を乱すおそれの程度等の具体的判断に当たっては、i)競業関係にな
らないか、ii)秘密保持義務違反にならないか、iii)利益相
電子商取引及び情報財取引等に関する準則が改訂されました
平成29年6月5日、eコマースなどの法規制を定めたガイドラインである「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が改訂されました。 今年6月3日に消費者契約法が施行されたこととの兼ね合いで改正された部分が多くなっています。 いくつかの新規項目がありますので、ここで報告します。 1 取引環境の変化に応じた改訂 //自動継続条項と消費者契約法10条 //アプリマーケット事業者の責任 //シェアリングエコノミーと兼業・副業に関する就業規則 その他、多くの項目や、概要の新設などもされました。 詳しいアドバイスは弁護士まで 弁護士 杉浦智彦
プログラミング勉強会に参加してきました
わかるようで分かっていなかったプログラミング言語を学びに、X Garden桜台というところに行ってきました。 MySQLとPHP言語の基礎を学び、「プログラマは大変だ」と肌で感じた二日間でした。 https://www.street-academy.com/myclass/3550 弁護士 杉浦智彦
プライバシーポリシーは自分にあったものを
プライバシーポリシーは、インターネットのウェブサイトにおいて、収集した個人情報をどう扱うのか(保護するのか、それとも一定条件の元に利用するのか)などを、サイトの管理者が定めた規範のことをいいます。 ざっくりいえば、個人情報の保護の社内ルールです。 このプライバシーポリシーで最も重要になるのは「利用目的」の部分です。 利用目的で、どのような内容を定めるかが決定的に重要です。 ほかの会社もプライバシーポリシーを公開しているので、転用はしやすいのですが、 自分の会社に合致したものを使わないと、意図しない結果になってしまうのです。 この点は、ご注意ください。 弁護士 杉浦智彦
【報告】神奈川県社労士会横浜南支部でセミナーを行いました。
平成29年(2017年)7月21日、関内ホールで、社会保険労務士の先生向けに、個人情報保護法のセミナーを行いました。 日頃から企業と距離の近い社会保険労務士の先生方からの交流をすることができ、私自身、大変刺激を受けました。 このようなセミナーのご依頼も、お待ちしております。 弁護士 杉浦智彦 #セミナー
事業承継をしようと思った時に株式の所在が分からないと困るという話
事業承継をすることが多くなってきました。 その理由は、やはり書籍執筆に携わり、編集担当をさせていただいたからだろうと思います。 よくある事例として、「株式、どこにいったかわからないなぁ」ということです。 確定申告書にありますよ?でも、その人が死んでいるパターンって、本当によくあるのです。 死んでいたら、相続になっているわけです。誰かよくわからない相続人が分割して持っているという状況なのです。 これって、すごく困るわけです。 事業承継をするとき、できる限り株式を集めて、後継者に渡す必要があるのに、それが難しくなるのです。 こんなとき、さらに困るのは、「いくらで売ってもらうのか」というところでも揉めるのです。 市場に出ていない株式ですから、価値なんかわかりません。 それを算出するのは非常に面倒です。 でも、やらなければいけないわけです。 手間と費用がかかります。 それを予防するためにも、弁護士が継続的に関与しつづける必要があるのだと思います。 弁護士 杉浦智彦