

こころthe士業でセミナーを行いました
2017年10月28日(土)午後1時から2時間、セミナーを行いました。 NPO法人 こころthe士業の第90回定期勉強会
会場:横浜市市民活動支援センター セミナールーム1 テーマ 「事業承継と労働問題」
〜社会保険労務士に求められる関与とは〜 最近ホットな事業承継問題を切り口にして、どのような問題が発生するのか、どのような関与が求められるのかのお話をしました。 現在、中小企業の経営者の年齢分布のトップは66歳で、2020年に数十万人の団塊世代の経営者が引退時期に差し掛かると言われています。事業承継は労働関係の処理が相当重要となることと、また、事業承継の際には顧問契約が切り替えとなることも少なくありません。今回の講座では、一般常識としての知識はもちろん、事業承継問題に専門職としてどのように携わるべきかの話をいたしました。 事業承継は、士業の連携が欠かせないと思っております。 定期的に、このような機会をいただいてセミナーをさせていただいております。 http://blog.goo.ne.jp/kokorozashigyo
「募集設立」は普通行わない
会社の設立の方法には、発起設立と募集設立という手続があります。 発起設立は、発起人だけが株式を手に入れられる形の設立方法、募集設立は、発起人以外も株式を手に入れられるようにする形の設立方法です。 いろいろ手続の違いはあるのですが、要するに募集設立は、発起人以外の人が関わってくるので、手続保障をせざるをえず、手続が面倒になるのです。 たとえば、出資されたことの証明方法は、発起設立であれば、お金が入った通帳のコピーでいいのですが、そうでない場合は、「払込金保管証明書」というものを銀行に発行してもらわなければならないのです。 そういうわけで、募集設立はほとんど行われず、発起設立だけが行われているのです。 なお、発起設立をして、その直後に新株発行や、発起人の株式を譲渡することによりお金を集めるのがスタンダードな方法といえます。 弁護士 杉浦智彦 #設立 #募集設立 #発起設立
システム・ソフトウェア開発は役割分担が大切
システム・ソフトウェア開発は、開発業務を丸投げして勝手に完成してくれることはなく、きちんと役割分担をしておかなければなりません。 その実態を理解して契約書を組まないと、問題が生じます。 特に単なる業務委託契約は、ひな形どおりだと、いわゆる「丸投げ型」の請負契約になっているので、実態にそぐわない契約書になることが多いです。 きちんと実態にあった契約書を準備し、もしトラブルになっても、ソフトランディングできるような解決を模索できるようにすべきでしょう。 弁護士 杉浦智彦 #システムソフトウェア開発 #契約書
タスク管理の方法を考えているが悩みが多いという話
今年末に、新人が当事務所に加入します。 その関係で、「新人の業務のタスク管理」を教えることになりそうです。 ただ、タスクの管理方法は、人それぞれのような気がします。 薦められた方法では合わず、いろいろ試した結果、私は、Todoistというアプリで管理することにしました。 しかしながら、Googleカレンダーで入れていくのがいいとか、メールで十分とか、本当に人それぞれ。 その人にあった方法が一番なんだろうと思っています。 一番大切なのは、タスクに載せるかどうかを考える瞬時の瞬発力なんだろうと思います。 「二分ルール」と言われるものがあります。 2分以内で処理できるものはすぐするという、Getting things doneで有名になったルールです。 これができると、タスクの落ちるスピードが段違いに早くなります。 少なくとも、後輩には、この二分ルールだけでも教え込みたいなと思っています。 弁護士 杉浦智彦 #二分ルール #コラム #タスク管理
賃借人を追い出すのは難しい
賃料を払わないからといって、賃借人を家から追い出すのはなかなか難しいです。 日本は、借家文化があり、家を失うリスクを減らすため、「借地借家法」などで、賃借人の地位を保護してきました。 その賃借人保護の思想の一つが、解除の際の「信頼関係破壊の法理」と言われるものです。 賃借人が単に賃料不払いをしただけでは解除できず、信頼関係が破壊されたといえる事情までないと、解除できないのです。 一般的には、半年くらい賃料不払いがあれば解除できるようになると言われていますが、いきなり解除できるわけではなく、原則として、「払わなければ解除する」と先に伝えておくことが必要となります。 賃貸業を営むのは、それなりにリスクはあります。 ただ、そのリスクを負っても、あまりある利益がでる可能性があるのも不動産の魅力です。 リスクを管理しつつ、収益をあげるためにも、弁護士をご活用ください。 弁護士 杉浦智彦 #賃貸借契約 #信頼関係破壊の法理
弁護士の報酬はタイムチャージだけなのか
たまに質問されることです。 タイムチャージって、私自身はあまり好みません。 なんか、能力ない人であればあるほどお金がかかるわけですよね? それって、納得しにくいんじゃないかなと思っています。 いくらかかるかも分からないですよね? 現在は、よほど見立ての立たないものは別ですが(難しい案件の多い超大手事務所はタイムチャージ方式が多いのは、これが理由)、そうでないと、着手・報酬か、または顧問料金プラスアルファの固定の費用で対応していることが多いように思います。 結局、お客様の予算感が一番大切になります。 その相談は、していただくべきだろうと思います。 (もっと費用をかけるべきという話が出てくることもありますが、それも、どういう理由なのかを説明してもらえるはずです) 弁護士 杉浦智彦 #コラム
会計で経営判断することは「責任を負わないようにする」ための予防策
よく、「レバレッジを考えると、こうしたほうがいい」とおっしゃられる経営者の人に出会います。 一方で、「いまは、これをしたほうがいい」と、市場の状況を判断し、会計の状況を踏まえず経営判断される経営者の方にも出会います。 どちらが伸びるかと言われると、後者のほうが伸びているような気もしますが、リスクの管理としては、前者のほうがよいです。 経営判断をする上で、「任務を怠った」といわれないためには、きちんと判断資料を集めることが大切です。 経営者が役員として責任追及される場合は、「判断が間違っていた」ではなく「判断するための資料を集めず判断した」というところが大きいです。 前者は、失敗した場合のリスクを下げる上では有用なのです。 ・・・ただ、そうはいっても、後者がよくないわけではなく、どこまでリスクを負うのかという、そういう話になってくるわけです。 弁護士 杉浦智彦 #経営判断原則
「経営判断原則」は違法リスクを引き受けるためには働かない?
「これ、違法かもしれないけど、やってみようか」 こう思いながらビジネスをすることはあり得ます。 会社法には、「リスクを引き受けて経営することは当然」ということで、経営判断原則(ビジネスジャッジメントルール)というものがあり、経営者としてあり得る経営判断であれば許される(=役員としての責任を負わない)というルールがあります。 しかしながら、この経営判断原則は、「違法」かどうかの判断には影響しないといわれています。 つまり、「違法かもしれないと思うなら、やらないのが経営判断だ。それ以外は認めない」ということなのです。 少し厳しいように思われますし、学者のなかには、違法かどうかという部分にも経営判断原則を働かせるべきという意見も根強いのです。 罰金を受けた場合の期待値額と、利益が得られる期待値額を比較して、利益が得られる期待値額が大きければよいのではないかという判断は許されて良いようにも思いますが、ただ現在の実務では受け入れられていないというのが実情です。 この点は注意していただき、きちんと弁護士の意見を踏まえたうえで経営判断すべきといえるでしょう。
代理店取引において独占禁止法で問題となりうるポイント
海外の商品を日本に売り込むとき、また日本の製品を海外に売り込むとき、代理店の手法が使われることが多いです。 ただ、代理店というのは、独占的な権利を与えたりする関係で、独禁法と密接に関わります。 再販価格拘束、競争制限、リベート、抱き合わせ、差別的取引、並行輸入阻害、優越的地位の濫用など・・・ さまざまなリスクをはらんでいます。 代理店契約書は、弁護士に見てもらうべき契約書といえるでしょう。 弁護士 杉浦智彦 #独占禁止法
理由なく「〇〇には一切相続させない」とだけ書く遺言は割と迷惑だという話
遺言もたまに見ます。 遺言で、たまに「あ、これ面倒だな」と思うものがあります。 その一つが、相続人廃除です。 廃除というのは、法律の制度で、ある相続人の相続権を奪う制度で、裁判所の判断が必要です。 (遺言による推定相続人の廃除)
第893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。 こんな規定があり、遺言で廃除の意思が出されると、遺言執行者は(どれだけ無理筋でも)申し立てなければならないのです。 タイトルに戻ると「一切相続させない」というのは、廃除の意思のようにも読めます。 そのため、かなり遺言執行者としては悩むのです。 単に相続分をゼロにするだけなのか、すでに生前贈与であげているということなのか、そういう「理由」があると、「ああ、廃除の意思まではないのか」と判断できるわけです。 廃除は、なかなか認められることのない制度なので、申