今年も大変お世話になりました
本ブログをご覧になっている皆様。 今年も大変おせわになりました。 来年も、より充実したサービス・情報を提供していければと思います。 それではよいお年を。 弁護士 杉浦智彦 #コラム
二ヶ国語以上で契約書を創る時の注意点
英語と日本語で契約書をつくるときに、注意しなければならないときは、翻訳が誤っていたり、または、翻訳自体は正しい面があるが、法律文書としては別の読み方がされてしまう場合です。 これらの場合、いずれの言語が優先されるかを規定しておくことがとても重要です。 これを定めておけば、わからないときに、最終的な処理は分かることになります。 ただ、いずれにせよ、意味がわからないと、思ってもいない約束をしていることにもなりかねないので、そういう意味では、多言語の契約書の場合は、弁護士のサポートは必要になるでしょう。 弁護士 杉浦智彦 #契約書 #多言語
「覚書」というタイトルか「変更合意書」というタイトルにするか
対象範囲が広めの取引基本契約があるとき、そのなかの一つの製品について、確認のための書類を取り交わすことがあります。 このタイトルは、通常は「覚書」になります。 ただ場合によっては、一部、基本契約の内容を修正することになることもあります。 この場合、タイトルはどうしたらいいのでしょうか。 これは、「覚書」でも「変更合意書」でも、どちらでもよいといえます。 重要なのは、タイトルではなく内容です。 きちんと、基本契約にかかれている修正の要件を満たしているかなど、内容面が整備されていれば、タイトルは、(よほどのことが無い限り)問題がないのです。 弁護士 杉浦智彦 #覚書
他社のマッチングビジネスの利用規約をそのまま真似すると痛い目を見る
マッチングビジネスを起業するとき、既に先行している企業の利用規約をパクって、自社の利用規約にする人が多いといえます。 しかしながら、これって、あぶないのです。 たとえば、マッチングは、どこで行うのでしょうか。 メールでやることを想定していても、 今のトレンドは、アプリやサービス内でのメッセンジャーサービスです。 そうなると、実は、総務省に、「電気通信事業者」の届け出が必要になります。 電気通信事業者の届け出をせず、メッセンジャーを導入してしまうと、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金になる可能性があります。 こんなことで、うっかり刑罰を受けないようにするためにも、 弁護士にきちんとサービスのチェックを受けてもらうようにすべきでしょう。 弁護士 杉浦智彦 #電気通信事業者 #届け出 #新規ビジネス
従業員が同業他社に入社することを阻止できるのか
これは、「退職従業員の競業避止義務」と呼ばれる問題です。 会社の利益が保護されるようには思えますが、従業員の職業選択の自由の問題、さらに公正競争の問題も出てきて、複雑な問題になっています。 原則としては、従業員の利益が重視され、何の合意もないと、同業他社に入ることを止められません。 そのため、競業してはならないという合意しなければならないわけですが、ただ、それも、守られるか微妙なところです。 そのため、退職金の減額規定が設けられることがあります。 ただ、退職金の全額減額は裁判例では否定されています。 実務上の基準は(根拠不明ではありますが)半分までと言われています。 また、競業避止義務の期間が長すぎても、規定は無効となります。 そのため、バランス感覚が非常に重要となるのです。 弁護士 杉浦智彦 #競業避止義務 #退職従業員
【書籍紹介】江頭憲治郎『株式会社法』(第7版、2017、有斐閣)
江頭天皇と呼ばれる(本当か?)、会社法の最重要文献の改訂版が今年出ました。 増量数はほとんどないですし、今年は、田中亘先生の『会社法』も出版されたので、「どのような立ち位置なのか」と思われる方も多いのですが、やはり江頭会社法は違うと思います。 江頭先生の会社法は、基本書ではなく、体系書なので、体系的にきちんとしていますし、それだけではなく、脚注の引用文献がかなり正確です。 実務的には ・江頭会社法 ・田中会社法 ・龍田=前田会社法 ・長島・大野・常松法律事務所『アドバンス会社法』 あたりが、まず読まれる文献なのですが、その中でも、やはりファーストチョイスの定位置を保っているのだろうと思います。 弁護士 杉浦智彦 #コラム
来年から事業承継は忙しくなりそう?
事業承継の税制が大きく変わろうとしています。 そのため、事業承継に注力していると「先生、儲かりそうですね」なんて言われたりします。 しかしながら、そんなことはないのです。 なぜなら、事業承継は、一朝一夕でできるものではありません。 5年程度はどうしてもかかってしまいます。 その中で、人をどう引き継いでいくかを悩みながら、(たまにはトラブルが発生し、それを乗り越えながら)対応していくことが必要になるのです。 事業承継の途中で、やはり労働事件が発生することが多いです。 その処理でバタつくことはあるかもしれませんが、来年から急に忙しくなったりすることはなさそうかな?と思ったりしています。 弁護士 杉浦智彦 #コラム #事業承継
ブランドを抹消して自社ブランドを付けて販売することは、どの法律に違反するのか
商標の剥奪削除と呼ばれる争点となります。 これは、海外では、Reverse Passing Off(リバースパッシングオフ・逆パッシングオフ)と呼ばれ、昔から違法で不正な競争だといわれています。 ただ日本では、実はドンピシャな法規制がないといわれています。 学説の多数説は、商標法違反としてくれているようですが、ただ、裁判所の明確な判断はないところです。 また、商標法違反とはならないという有力な説も存在するところです。 また、不正競争防止法に該当する可能性も検討されています。 北海道大学の田村善之教授は、不正競争防止法2条1項14号に該当するといっています(田村善之『商標法概説第2版』150頁) しかしながら、今の法規制を確認したとき、2条1項14号よりも、同項3号の該当の可能性が高そうにも思えます。 ただ、これには刑事罰もあるところなので、「罪刑法定主義」のなかの「刑罰を科すなら、要件を明確にしておけ」というルールに反するため、難しい解釈ではないかと反論されているところでもあります(平尾正樹『商標法第1次改訂版』295頁)。 結局、落ち着きのよい
不正競争防止法を勉強のためにはインターネットがよい
最近、業務的に知的財産権に関する事案が増えてきています。 それで、本格的に勉強をはじめているのですが、 知財法は、インターネット上に勉強の材料が多く集まっています。 条文の解説は、特許庁のホームページで公表されていますし、 不正競争防止法については、(パワポの形式ながら)テキストがアップロードされています。 むしろ、これらの分野について、よい基本書がないと言われている分野です。 そのため、現時点ではインターネットをつかって学習するのが望ましいのだろうと感じております。 弁護士 杉浦智彦 #不正競争防止法 #コラム
代表者の横領を明らかにするのは難しい
どんな企業でも、横領案件は発生しうるといえます。 特に、内部対立が発生している企業であると、代表者もお金を横領するような事例も存在します。 代表者がお金を持ち逃げした場合、それを横領と捉えることができるかについては、なかなか難しい問題があります。 横領として立件する上で、その目的や意図がとても大切になります。 通常の従業員による横領の場合でも難しいのですから、いろいろな権限のある代表者なら、なおさら難しいのです。 代表者の横領が発生しそうな場合は、あらかじめ弁護士を選任した上で、会社内部の経理面等の処理をきちんとしておき、お金の流れを明確にしておかなければ、横領され放題になってしまうかもしれません。 弁護士 杉浦智彦 #横領