「請負」「雇用」「委任」はどう区別するのか
民法が改正されるわけですが、その改正でより複雑な問題となったのが 「請負・雇用・委任をどう区別するか」ということです。 請負というのは、仕事の完成に対価を払う約束です。たとえば、建物を立てる(仕事の完成)に対価を払う建設請負契約などがこれに該当します。 雇用というのは、だれかの指揮命令に服して労働し、それに報酬を払うことを約束することです。たとえばコンビニのアルバイトだと、店長の指示(指揮命令)に従って労働し、それに賃金(報酬)を払うというような形です。 委任は、ある行為をすることを委託する約束です。結果は問いません。たとえば、弁護士のしごとは委任と言われているのですが、これは、最善の結果に向けて尽力することが仕事で、「勝つ」という結果を請け負っているわけではないのです。 ざっと書くと、こんな感じですが、物事はそんなにシンプルではありません。 請負でも、業者に指示を出すはずです。雇用との差は、案外あいまいです。(だから、偽装請負みたいな話が出てくるのです) 委任と請負も、差があいまいです。結果を求めているのか、それまでのプロセスを求めているのかと
ヤフーニュースのトップに掲載されました
先日、新人研修の記事がヤフーニュースのトップに掲載されました。 「地獄の新人研修」地図・スマホ持たせずに「夜間30キロ行進」…違法じゃないの? https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180424-00007769-bengocom-life なかなかバズったようで、嬉しく思いました。 弁護士 杉浦智彦 #コラム
破産の受任通知が届いたら債権回収してはならない
取引先の信用不安情報が届いた時、債権回収に急いで乗り出さなければなりません。 ただ、弁護士から、「受任通知」というものが送られてしまった場合は、それ以上の債権回収をすることは危険だといえます。 まず、破産の受任通知は、その会社にとって、取引ができないということを表明したもので、かつ受け取った会社にとっても、そのことを知った段階といえます。 受任通知が届くと、破産の準備段階となりますので、そこからは、誰かに優先して支払ったりすることなどはルール違反となります。あくまで、平等な支払いを目指していきます。 勝手に回収すると、後々、否認権というものにより、回収したお金をすべて持って行かれることになりかねません。 受任通知後ということであれば、証拠も多く揃うため、多くの事案で否認権行使がなされています。 そのため、破産の受任通知が届いたら、債権回収してはならないのです。 弁護士 杉浦智彦
創業の悩みとは具体的にはどのようなものなのか
コラムです。 現在、日本弁護士連合会の中小企業法律支援センターというところに所属して活動しているのですが、ここで、創業する人むけのパンフレットを作成しています。 創業時のビジネスの適法性など、話としては面白いのですが、実際にどのような悩みをユーザーが抱えているのか、正直よくわからないところです。 きちんとユーザーさんと話をしていかないとと思ったところでした。 (今日は短いですが、バタバタしている関係でございまして、ご容赦ください・・・) 弁護士 杉浦智彦
GoogleAnalyticsを利用しているならプライバシーポリシーにそのことを書かなければならない
いろんな企業で、GoogleAnalyticsという、アクセス解析サービスが使われています。 これを使うと、人気のコンテンツや、閲覧の流入などが確認でき、便利なようです。 GoogleAnalyticsで使われるのはCookieというものなのですが、これは、Webサイトの提供者が、Webブラウザを通じて訪問者のコンピュータに一時的にデータを書き込んで保存させる仕組みのことです。 コレ自体が個人情報ではないのですが、ほかの情報と結び付けられることで、特定の個人の情報と結び付けられる可能性があるため、個人情報に該当する「可能性」があるとは言われています。(ただ、Cookieが個人情報であるとする立場は少数説のようです) その点では、法律上は、GoogleAnalyticsを使用していることをプライバシーポリシーで明らかにする必要もあるという立場もありうるわけです。 しかしながら、(どういう立場であろうと)、利用者はプライバシーポリシーのなかで、GoogleAnalyticsを使用していることを明記しなければならないのです。その理由は、Googleが、
独占禁止法は忘れたころに活用場面が来る
コラムです。 最近、事件で、独占禁止法を主張しなければならない場面が出てきました。 司法試験のときに勉強はしていたのですが、独占禁止法は、案外奥の深い分野です。 「独占禁止法」と言われると、カルテルのイメージがあると思いますが、それ以上に、他社への妨害を止めるという法律だったりします。 ただ、本来、他社を妨害するのも、(犯罪に該当しない限り)自由なはずなので、その線引が難しかったりします。 実際の運用や通達がどうなっているか、理屈とともに重要になってくる分野なのです。 そういうわけで、学者の本も大切ですが、実務家の書く書籍も大切なわけです。 さまざまな本がありますが、幕田英雄先生がご執筆された文献は、いずれも理論も通っており、さらに公正取引委員会の委員だったこともあり、運用面での信頼度も高いので、おすすめです。 弁護士 杉浦智彦
管轄条項は、「原告所在地」がよいか「被告所在地」がよいか
契約書の管轄条項で、大きく ・被告地主義(訴えられる側で訴訟提起すべき主義) ・原告地主義(訴える側に近い場所で訴訟提起すべき主義) の2パターンがあります。 どちらの条項がよいのでしょうか。 これは、実は「場合による」というところです。 もし、責任追及をしていきたい側(たとえば製品の供給を受けている側)は、訴えていきたいでしょうから、原告地のほうが有利でしょう。 一方で、訴えをされたくない側(責任追及を受ける側もそうですし、そもそも訴訟リスクを抱えたくない側)は、被告地主義としたほうが有利でしょう。 いずれの選択をするかは、結局ビジネスのあり方が関連するわけです。 弁護士 杉浦智彦 #管轄 #契約書
独占販売権と最低販売数量はセットにならなければならない
(すみません、昨日はバタバタしていて、アップロードできていませんでした) 実は、今日で31歳となりました。 お誕生日プレゼントはどしどし募集しています() さて、総代理店契約などのときに、Exclusive、つまり独占的な販売権を与えるわけですが、このとき、「最低でもいくらまでは売ってください。売れなかったら引き取ってください」という条項をつけることがほとんどです。 それは、メーカーからすると、他に代理店をつくらないので、もしその代理店の売上が低かったら、商売あがったりなわけです。 そのため、最低販売数量と独占販売権はセットに考えなければならないのです。 ただ、契約書によっては、独占でないのに、最低販売数量を決めているものもあります。 このルートもありますが、代理店としては、その費用で広告費などを支出するので、十分な売上を立てるための広告もできなくなり、最低販売数量を下げる形で交渉をしていかざるを得なくなります。メーカーにとっては経済的には結局損することも考えられるわけです。 いろいろな経済的な面を考慮して、契約書の立て付けを決めなければならない
【民法改正】平地の土地賃貸借の存続期限が50年にできる
従前、平地の土地賃貸借の期間の上限は20年でした(民法604条1項)。 しかし、これだと、太陽光発電のために土地を借りたりするとき、上限が下手に決まってしまっており、機動的な運用ができなくなっていたとの批判がありました。 その批判を解消するため、上限が50年になりました(新しい民法604条1項)。 このように、賃貸借の期間の上限も変わった民法。どこかできちんと押さえておく必要がありそうです。 弁護士 杉浦智彦 #民法改正 #不動産賃貸借 #存続期間