GDPRがついに施行されました-2
前回の続きです。 まず、どのような企業がGDPRの対応をしなければならないかを解説します。 ヨーロッパの個人情報保護法なので、ヨーロッパに関連会社がある場合のみ適用されるようにも思えますが、それは誤りです。 ヨーロッパの個人情報を取得するものであればよいので、日本でECサイトを運営しているような場合や、旅行会社なども、適用されることになります。 最近は、零細企業であっても、インターネット上で簡単に通販サイトを経営できます。 ウェブ上で、氏名・住所・クレジットカード番号などをやりとりするような場合、これらは個人情報保護になるので、GDPRの対応が必要となってしまうのです。 ただ、大企業ならまだしも、予算のない企業がGDPRの対応を考える上で、どうしても優先順位を考えなければなりません。 次回は、まずは何をしなければならないかをお伝えします。 弁護士 杉浦智彦 #GDPR
GDPRがついに施行されましたー1
ヨーロッパの個人情報保護法である、「GDPR(General Data Protection Regulation)」が、平成30年5月25日から効力が発生しました。 これは、ヨーロッパに支店・関連会社等がなくても、ヨーロッパの人の個人情報を取得する企業であれば、適用されるルールとなります。 たとえば、個人データを同意なく取得したり、適切に個人データを管理していないような場合、管理者の情報が適切に開示されていない場合、個人から自己の情報にアクセスしたり修正したりできない場合には、最大 20 000 000 ユーロ、又は事業である場合、前会計年度の全世界年間売上高の4%までの、どちらか高い方を制裁金として科される可能性があります。 また、民事の損害賠償責任なども負う可能性があります。 早速、Facebookも提訴されたと聞きます。 そのような中で、中小企業が取るべき対応について、次回以降解説していければと思います。 弁護士 杉浦智彦 #個人情報保護法 #GDPR
法人設立手続きのワンストップ化の流れについて【平成30年5月現状版】
世界銀行が調査しているビジネス環境ランキング(Doing Business)で、先進国35カ国中、日本は24位です(平成28年)。 この一つの原因と言われているのが、日本の法人設立の手続数が多いことと、手続日数が長いということです。 ざっくり、法人設立には、以下のような手続を、それぞれの場所で行う必要があります。 【登記前】 ①定款認証(面前確認) 【登記時】
②会社代表者印 提出【書面化】
③設立登記申請 ※①②が必要
【登記完了(申請後1~2週間)後】
④登記事項証明書 取得【書面化】
⑤会社代表者印印鑑証明書 取得【書面化】
⑥法人銀行口座開設 ※④または⑤が必要
⑦税務署 設立届出
⑧都道府県・市町村税事務所 設立届出 ※④が必要
⑨労働基準監督署 設立届出 ※④が必要
⑩公共職業安定所 設立届出 ※④が必要
⑪年金事務所 設立届出 ※④が必要
⑫健康保険組合 設立届出 ※④が必要 (細かいことをいうと、資本金を入れる通帳の準備なども必要なのですが・・・) これではまずいということで、現在、政府官邸は、法人設立手続
Business law journal2018年7月号
44ページ以下に掲載されている「オンライン取引の英文利用規約」は、司法修習の恩師である上沼紫野先生が執筆されていました。 また、時間があるときに、じっくり拝読したいと思います 弁護士 杉浦智彦 #コラム
大山滋郎『一晩でわかる経営者の法律知識』
事務所の代表が執筆した書籍の紹介です。 起業家向けに書かれていますが、起業家だけではなく、「どうやって会社を維持するか」という観点でも書かれているため、全ての経営者におすすめできる書籍です。 起業直後は、法律を意識しすぎるより、売上を上げることに注力せよというのは、事務所の代表がよく言っていることですが、そんなぶっちゃけたことが記載されていて面白いです。 よければ御覧ください。 弁護士 杉浦智彦 #コラム #書籍紹介
石﨑冬貴『なぜ、飲食店は一年でつぶれるのか?』
職場の先輩が執筆した本の紹介です。 挿絵もなく、なかなか骨太な本ですが、内容はわかりやすく記載されています。 なお、最終ページに記載された事務所の電話番号に誤字があり、そのまま電話するとFAXにつながってしまうので、その点だけ注意していただければと思います(苦笑い)。 弁護士 杉浦智彦 #コラム #書籍紹介
「営業日」をどう定義するか、それが問題だ。
契約書で、よく「★営業日以内に通知しなければならない」みたいな条項があります。 この「営業日」というのは、これまでは銀行の営業日としていました。 なぜならば、銀行法という法律が、営業日を定めていたからで、勝手に休んではいけないということで、営業日が固定化されていたからです。 <銀行法>
(休日及び営業時間)
第一五条 銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。
2 銀行の営業時間は、金融取引の状況等を勘案して内閣府令で定める。
(臨時休業等)
第一六条 銀行は、内閣府令で定める場合を除き、天災その他のやむを得ない理由によりその営業所において臨時にその業務の全部又は一部を休止するときは、直ちにその旨を、理由を付して内閣総理大臣に届け出るとともに、公告し、かつ、内閣府令で定めるところにより、当該営業所の店頭に掲示しなければならない。銀行が臨時にその業務の全部又は一部を休止した営業所又は代理店においてその業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。 しかしながら、銀行規制緩和で、平日に休みを持ってくることができるようになりそうです。
賃金の請求権や有給の請求権は5年になるのか
賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会において、現在、賃金の請求権などの時効も5年にするかが検討されています。 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=503103 現在まで、第3回の議事録まで公開されていますが、消滅時効が現在の2年から5年に引き伸ばされそうな風潮を感じます。 私自身は、第2回の資料で伊藤昌毅先生がおっしゃられているように、 「記録の保存期間の延長ということが想定されるが、それは我が国の企業の大多数を占める中小零細企業にとって特に大きな負担となり、正に死活問題となる。そして、実際の労使の紛争においては、例えば未払い残業代請求事件などを扱っていると、賃金台帳に記載されている金額を支払っていないというのではなく、会社としては記載されている金額をきちんと管理して支払っている中で、「休憩時間が所定どおりに取れていなかった」「所定時間外に××を行っていたが、この時間も労働時間と扱われるべきである」等々の主張が後に労働者からなされ、その時の現場の管理者が既に異動して
債権者は、債務者の親の預金をアテにしてはいけない?
債権回収の話です。 債務者に「現時点で」お金がなくても、たとえば親御さんに貯金があり、それを近々相続しそうな場合があります。 そのような場合、これまでであれば、親御さんの死後、債務者に兄弟がいたとしても、銀行に対して、割合的に分割した額を差押することが可能でした。 しかしながら、平成28年12月19日の最高裁の判決により、預金は、遺産分割協議をしなければ、相続人は引き落としができなくなりました。 その結果、債権者が差押をすることができなくなりました。 親の財産をあてにした債権回収は、なかなか難しい世の中になってきたのかもしれません。 ただ、そうはいっても、恩情に訴える債権回収をして、親御さんからお金を回収するケースは、それなりにあるので、場合によっては、考えていくべき手段だろうとは思います。 弁護士 杉浦智彦 #債権回収 #預金 #相続財産