UberやLyftの障害(4)
個人情報保護法の問題もあります。 結局、自宅の住所を記載することも多くなるわけです。 そうすると、アカウントと個人の住所がアプリ内と連動するわけですから、個人情報保護法の対応もしなければならなくなります。 とりわけ、どこの誰かもわからない運転手に、個人情報を渡すわけですから、それなりに整備しないと、万が一運転手がストーカーになったりするとマズイわけですね。 その抜本的対策というのは、実は難しく、結局、利用規約で、運転手に不正利用しないよう約束してもらうしかないというところです。 もしそれ以上の保護を求めるなら、Uberなどを使うことができないということになるのでしょうね。 弁護士 杉浦智彦
UberやLyftの障害(3)
次は支払い方法です。 いわゆる、エスクロー決済という方法がとられています。 エスクロー決済を実現するために、一度第三者がお金を預かるという形になるのですが、 日本の法律上、なんの免許もなく 「第三者にお金を預ける」ということをしてはいけません。 これは、銀行同様の業務といわれてしまうおそれがあり、資金決済法上の許認可が必要となります(資金移動業登録)。 それを回避する手段として使われるのが、 「売り主の代わりにお金を受け取る」という方法です。 そうすると、お金を預かり、買主をリスクに晒さないので、問題ないと言われているのです。 ただ、この方法だと、結局、その第三者により支払われないリスクを売り主が負うわけです。 エスクロー決済を導入しようとする事業者様は、第三者がきちんと信頼できるのか、それを考えてから契約するのがよいかと思います。 弁護士 杉浦智彦
UBER Lyftの障害(2)
UberやLyftの障害として最も言われているのが、「白タク」つまり免許のないタクシーで違法だということです。 かなり前(昭和30年台ですが)に、白タクをして罰金刑になったひとが、「これは職業選択の自由に反するから、違憲だ」と争ったのですが、この主張は認められませんでした。 最高裁は、以下のようなことを言っています。 憲法二二条一項にいわゆる職業選択の自由は無制限に認められるものではなく、公共の福祉の要請がある限りその自由の制限されることは、同条項の明示するところである。道路運送法は道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とするものである。そして同法が自動車運送事業の経営を各人の自由になしうるところとしないで免許制をとり、一定の免許基準の下にこれを免許することにしているのは、わが国の交通及び道路運送の実情に照らしてみて、同法の目的とするところに副うものと認められる。ところで、自家用自動車の有償運送行為は無免許営業に発展する危
日本でUberやLyftを導入しようとするために障壁となるのはなにか(1)
先週はブログの更新をやめて、アメリカに行ってきました。 ニューヨーク、アナーバー、ボストンという3箇所に行ってきましたが、よかったですね。 会った皆様、なかなかの高所得者ばかりで、日本ってやはり先進国ではないのではないかと思ったりしましたが・・・ さて、今回アメリカに行ってみて思ったのは、「シェアリングエコノミーって、安くて便利だな」というところです。 実はそこまで予算もなかったので、ボストンのホテルはAirBnBにしたのですが、これも、よかったです。(なんか、ホームステイ先にお呼ばれしたような気分にもなれました) シェアリングエコノミーの最たるものが、タクシー代わりのUberやLyftです。 これ、めっちゃ便利なんです。 アプリを起動したら、現在地を割り出してくれて、そこまで迎えに来てくれるのです。 それだけではなく、目的地を入力できるので、海外の方と変なやりとりをしなくても、安心して目的地にたどり着けます。さらに、お金の決済もネット上で行われ、さらに運転完了後でないと運転手に支払われないので、その点でも安心です。 これ、オリンピックを日本で開
2回分の更新停止のお知らせ
業務の関係で、今週月曜・木曜のブログ更新を停止します。 すみません・・・
給与の前払いについて、また熱を帯びてきました
最近、また日経で、給与の前払いサービスの話が出てきました。 フィンテックに規制の壁
「給与前払い」法整備後手に 若者からニーズ、健全な育成課題 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34966650U8A900C1EE9000/ 私自身、この問題に関心があり、ある程度調べていて、弁護士ドットコムなどからの取材も受けていますし、企業からのご相談も受け付けている状況ですし、最近は、「使いたいという企業が多いのだけれども、どうアドバイスしたらいいか」といった、社労士の先生からのご相談も多いところです。 このようなサービスをどうつかうかも、実は弁護士の腕の見せどころだったりします。 気になった方は一度ご相談ください。 弁護士杉浦智彦
海外の会社と契約するときに印鑑が必要か
印鑑は、基本的には日本など、アジアの一部の文化です。 海外だと、「印鑑作れ」とはいえないわけです。 それで使われているのが、署名です。 印鑑証明に対応するものとして、署名証明というものもあります。 https://www.jetro.go.jp/invest/newsroom/2017/d09ba1d16d47593c.html 本来は、大使館で取得することになります。これを取得することで、署名しているひとが、そこに記載されている本人なのだということが明らかになるわけです。 よくわからない場合は、弁護士のサポートを受けるのがよいでしょう。