完全合意条項の効力
最近、日本の契約書のなかでも、いわゆる完全合意条項が出てくることがよくあります。 完全合意条項とは、契約書が当事者間の完全な合意を表すもので、それ以外を排除するという内容の条項です。 英米法では、Parol Evidence Rule(「パロール原則」)と言われている、口頭証拠を排除する準則の適用を確認する意味で用いられています。 ただ、日本法には、このパロール原則はないわけです。 それで、どのように解釈されるかについては、日本ではそれなりに違った判断がされています。 一般論としては、解釈する上では、書面以外の事情も考慮してよいが、権利関係については、基本的には新たに発生することはないということになりそうです。 ただ、文言によっても異なります。 弁護士などに相談のうえで、個別内容を定めるのがよいかと思います。 弁護士 杉浦智彦
簡単な英語で書かれた英文契約は、解釈の余地を残す?
英文契約は、不思議な英文が使われています。 Whereasとか、Hereinafterなどの、聞いたことない英単語が乱立していますし、一文も、長いことが多いです。義務を表すのに、助動詞Shallを使いますし、権利はMayを使います(例外はありますが) ただ、最近は、短い英文契約書も多くなっているように思います。 一つの要因は、次の書籍の発売だろうと思います。 たとえば、一言に"Get"の解釈も、いろいろあるわけですし、複雑でテクニカルタームになればなるほど、専門家間では解釈が固定されていることが多いのです。 また、通例だとWillは、義務を発生させないと読まれるが、そう読ませたいような文章もあったりします。 さまざまなリスクを含め、弁護士が関与した上で英文契約を作ったほうが、望ましい結果を生むことは、それなりによくあるように思います。 弁護士 杉浦智彦 #英文契約
契約書あるある早く言いたい
最近、Twitterのタグで、#契約書あるある というものが出てきて、 契約書によくあるミスが記載されています。 なかには、よくわからないもの(?)もありますが、典型例・実例というところで感じていただければと思います。
Grammarlyという英文チェックアプリが使える
https://app.grammarly.com/ 英文契約を見るとき、作るとき、いずれも文法面は気になります。 そんなとき使えるのがGrammarlyというアプリです。 これ、恐ろしい制度で英文のミスを見つけてくれます。 あとは、内容だけきちんとしていれば大丈夫という感じですね。 弁護士 杉浦智彦
熊木明『負けない英文契約書』
日本企業だと、どうしても英文契約書についても受け身で対応せざるを得ない場合が多いように思います。 その対応として、良い本が出たのでご紹介します。 それが、熊木明『負けない英文契約書』という本です。 条項に沿って、どのような案で返すべきかについて記載がされており、非常に参考になります。 (わたしも、友人の弁護士から紹介され、読んでみました) みなさまもぜひ!
なんで余裕がある・お金持ち企業のほうが契約書を作っているのか
契約書なんか面倒くさいに決まってるだろ! そもそも、契約書を作成しなければならないなんて、面倒に決まってるんです。 このまま、面倒なことを避けて、契約したとして営業成績とりたいと思うのは当然のことです。 さらに、契約書を作るのも、なんかお金がかかるし、さらに出来上がった契約書も、よくわからない用語が並んでいるし、ほとんど誰も読まないし・・・ こんなもの本当に必要なのかと思いたくなるのも、わからなくはないです。 ただ、考えてみてください。契約書、本当にいらないのでしょうか。 もしいらないのに、何で余裕がある・お金持ち企業のほうが契約書を作っているのでしょうか。 契約書には、もめないようにする力がある 大きい企業・余裕がある企業は、これまでの失敗を改善する力があります。 どんな企業でも、契約のとき、トラブルが発生したはずです。 そのトラブル、結構な割合で、契約書で解決(=勝負が決まる)ことがあります。 だからこそ、大きい企業・余裕のある企業こそ「契約書を作る」という行動を取りがちなのです。 本筋ではないところに、自分に有利な内容を盛り込める さらに、
「5分で作る」代物弁済契約書
1.契約書は手書きでいい。ノートに書いてもいい。 契約書は、別にワープロでなくても大丈夫です。手持ちのノートをちぎって作ってもよいのです。 特に急ぎで契約書(=証拠)を作る場合は、手書きでもいいですし、手持ちのノートでも良いので、契約書を作れると、本当に強いです 2.借金のカタに物をもらっていくときに作る「代物弁済契約書」はすぐ作成する必要がある 具体例としては、借金のカタに物をもらうときの「代物弁済契約」があります。勝手に人のものを持っていくわけですから、そのままだと窃盗です。 犯罪に該当してしまわないようにするためにも、代物弁済契約は必須なのです。 3.細かいことをガタガタいわない場合は、すぐ作れる ただ、作る上で、「まだ★円回収してないから・・・」みたいなことを言っていると、書くことが細かくなってしまい、結局すぐ作成するのは困難です。 「お金がないから、これで取れるだけとって、あとは諦めよう」くらいの気概がなければいけません。 4.どうやって作るか 一番シンプルな内容をお伝えします。 「日付」を頭に書いた上で 「債務者は、債権者に対する一切
営業の人に契約書の結び方を説明しておく意味
最近、立て続けに、営業の人が契約書を適切な方法で結んで来ないで揉めるという案件がありました。 1つは、複数枚ある契約書に割り印をしておらず、「俺はこんな契約条項の部分はもらっていないし読んでもいない」と言われた案件です。 ほかにも、「これは、代表の書いた署名ではないし、社印もないから、会社に効果が及ばない」なんて言われたこともありました。 これらの事件は、最終的に裁判になれば勝てるかとは思いますが、 営業の人が、あと少し丁寧に契約書を締結していれば、こんなにもめないのに・・・なんて思うこともあります。 取引のなかで、契約書というのが、どうして大切なのかを説明することの大切さを身をもって知ったのでした。 弁護士 杉浦智彦