印紙税の解説(3)~課税文書とは(2)~
課税文書の要件の一つが 「(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。」 です。 「課税事項を証明する目的で作成された文書」というのは何かというと、課税事項(印紙の対象になる取引)があることを明記しているだけではなく、その取引を意図している文言がある文書をいいます。 「当事者間」といってはいますが、一方が作成した領収証なども含まれます。 もちろん、契約書などのように、正面からどのような契約かを記載しているものも含まれますし、そうでなくても、代金の受取書のようなものでも、これに含まれます。 一つのポイントは「文書」でなければならないところです。 たとえば、電子データは「文書」ではないので、印紙の対象にはならないのです。
印紙税の解説(2)~課税文書とは~
印紙税は、どんな文書でも対象になるわけではありません。 「課税文書」に該当するものだけ、印紙税がかかります。 「課税文書」は次の3つの要件「すべて」当てはまることが必要です。 (1) 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。 まず、(1)についてです。 これは、「印紙税額一覧表」(国税庁。別ウィンドウ)の「文書の種類」20種類に該当することです。 一つの例として、「委任契約書」は、この20種類どこにも含まれないので、実は印紙不要なのです。 (2)以降は次回解説します。
印紙税についての解説(1)
最近、国税庁が「印紙税の手引」を公表しました。 印紙税については、ご相談の多い分野ですので、何回かに分けて、解説をしていきたいと思います。
フランチャイズ契約は何を盛り込んでいるのか(5・最終回)
先日までの連載で、フランチャイズ契約には、さまざまな問題があることを指摘しました。 とくに、独占禁止法からの問題点が多数指摘されていたわけです。 そのため、公正取引委員会は、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」を公表しています。 フランチャイズを構築するとき、この考え方・ガイドラインを参照いただくのがよいかと思います。
消費者向けの収納代行は、資金移動業になる?
先日、 金融審議会「金融制度スタディ・グループ」が、「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫ (案)を公表しました。 この16ページ目で、収納代行のうち、お金を得る側が消費者の場合の収納代行について、以下のコメントがなされました。 「債権者が一般消費者である場合については、一般消費者が「収納代行」業者の信用リスクを負担することとなり、上述のような実質的に個人間送金に該当するようなものは資金移動業として規制対象とすることが適当である。」 これまで、二重決済の危険などがあることから、原則として銀行と類似の「資金移動業」という、多額のお金を預けていて万が一のときに保証してくれる業者が担当すべきではないかと言われていました。 今回、収納代行に対してお金を払うよう請求する立場が消費者の場合の収納代行のビジネスモデルについては、やはり、資金移動業としたほうがよいというコメントがなされたわけです。 ある意味、当然だと思う部分もありながら、実際にこれで運営してしまっている事業者があるのも事実です。 適法なラインを見極めつ
【書籍紹介】『ジョイント・ベンチャー契約の実務と理論(新訂版)』
最近、合弁の形のご相談が増えたので、読み始めました。 理論的な説明がきちんとされているので、「この事案では、この法形式が良さそうだな」というスタートのところの決断力が鋭くなることができるように思いました。 JVを立ち上げる際、一度ご覧いただくのもよいかもしれません。
弁護士であっても、どういうビジネスなのか想像することは難しい
弁護士で、これまでさまざまな契約書を見てきましたが、 依頼を受ける件が、どのようなビジネスモデルなのかについては、きちんと聞かないとわかりません。 何を提供するのか、いくらで提供するのか。 いらっしゃった担当者の方もよくわからないということがあります。 きちんと聞いて、中身を確定させ、書面に落とし込むほうが、絶対に良い契約書ができますし、紛争の回避もできません。 本来ならば、ある程度付き合っている顧問弁護士に依頼するのが、貴社のビジネスを理解している点でよいのです。
フランチャイズ契約は何を盛り込んでいるのか(4)
前回までの記事の続きです。 フランチャイズ契約の拘束力 フランチャイズは、ブランドイメージをつくるため、さまざまな拘束をしています。 消費期限が切れそうな商品の安売りを禁止するなどですね。 ただ、このような拘束自体、いわゆる、上下関係の不当利用というほかないとして、公正取引委員会から、「優越的地位の濫用」として排除措置命令がなされたところです。 どこまでイメージ構築ができるかは、弁護士などの専門家のアドバイスが必須になるでしょう。また、場合によっては、リスクを承知でも、イメージ確保すべきものもあるかもしれません。そのリスク回避も弁護士の関与が必須です。