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消費者契約法改正1~大量販売が取消し対象に?AKBのCDは?~


消費者契約法が改正され、平成29年6月3日から施行されることとなります。

改正点のポイントを、今回から数回に分けて解説します。

まずは、新しく導入された、大量販売規制です。

新しく追加された条項を見てみましょう。

 

消費者契約法4条4項

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結につい て勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に 照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるもの と同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。

 

消費者にとって通常の量を著しく超えている大量の物・サービスを勧誘すると、取消しができるという規定です。

これは、事業者が、認知症の高齢者その他の合理的な判断をすることができない事情がある消費者に対し、 その事情につけ込んで、不必要な物を大量に購入させるといった消費者被害が発生していることから、それを防止するために定められたのです。

大量に販売してはならないと言われていますが、たとえばA●BのCDは大量に購入するようプレッシャーがあるわけですが、これはどうなのでしょうか。

実は、消費者庁の公式見解があります。

 

「消費者契約法の一部を改正する法律に関する一問一答」より

問12 アイドルとの握手券が付いたCDを大量に購入したという事例 については、過量な内容の消費者契約の取消しが認められるので すか。

(答)

1.このような事例では、一般的には、消費者が自ら商品をレジに持参し て購入するものと考えられます。そのような場合には、事業者から消費 者に対して勧誘がなされていないことから、過量な内容の消費者契約 の取消しの規定は適用されないこととなります。

2.また、仮に勧誘がなされた事例であったとしても、そのCDを発売し たアイドルのファンである消費者が購入するような場合には、握手券 が付いているという商品の内容や、そのアイドルのファンであるとい う消費者の生活の状況を考慮すれば、過量な内容の消費者契約には当 たらないと判断されることが多いと考えられます。

3.ただし、そのような消費者の生活の状況等を考慮したとしても、販売 されたCDの枚数が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超え るものである場合においては、事業者がそのことを知りながら勧誘し、 それによって当該消費者が契約を締結したときは、過量な内容の消費 者契約の取消しの規定が適用されることになります。

 

このように、

自らレジに持参したような場合は、「勧誘した結果」という部分にあたらないことから、この適用を受けないと指針が定められています。

また、握手券という「付加価値」があるから、過量ではないという判断がされるとも記載がされています。

つまり、

・事業者が消費者に対して勧誘して、直接的に大量購入をさせたような場合でなければ適用対象にならない

・大量購入しても不思議ではない付加価値があれば、適用対象にならない

ということがいえるかと思います。

以上の点を考慮して、消費者への販売を考えていく必要があるかと思います。


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