【XVIDEOS】違法アップロードサイトの閲覧は行き着く先までいけるのか【視聴者への執行?】

※この記事は、XVIDEOSへの閲覧を推奨しているわけではありません。私自身はDMMなどで購入した上で見たほうが楽しいと考えています。
猪瀬元知事の件で、一時トレンド入りした”XVIDEOS”というワード。
これ、海外にある違法動画アップロードサイトなのです。
さて、これを閲覧している人も多いのでは?
今日は、法律家の観点から、この問題がストリーミングで閲覧している視聴者にどのように波及するのかということを(民事刑事の双方から)考えてみました。
まず、刑事の問題です。著作権法違反・児童ポルノ単純所持・公然わいせつ罪あたりが考えられるところかと思います。
一つめ、著作権法違反といわれるもので検挙されるかどうかです。
勝手に著作権の及ぶものをダウンロードすることは「複製」として違法です。
しかしながら、ストリーミングについては、「複製」に該当しないと考えられています。(東京地裁の裁判例参照)
そのため、著作権法違反で刑事事件になることはありません。
次に児童ポルノ単純所持です。こういう違法アップロードサイトには、児童ポルノが氾濫していると言われています。XVIDEOSではないですが、FC2などでは、よくアップロードされた事件が検挙されているようです。
この「単純所持」にストリーミングのキャッシュが含まれるかどうかについては、実は相当深い議論があります。ただ現時点では、逮捕事例などはなさそうです。ダウンロードしていたという案件ばかりが警察の捜査対象となっているように思います。
最後に、公然わいせつです。これは、結論からいうとアウトです。
よく、ストリップの観客が公然わいせつの幇助になるとして逮捕された報道がありますが、まさに、ストリーミングで見るのは、公然わいせつ(正確に言えば、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪の幇助)として取り上げられる可能性は(法的には)十分あると思われます。
ただ、これが検挙されるのは、一体どういうときなのかという問題もあります。公然わいせつの罪は、多くは現行犯で捕まっています。現行犯以外だと、正直、ほとんど検挙できないというのが実態のようです。
そのため、突き詰めて考えた場合、刑事事件になる可能性というのは、低いというのは言えそうです。
(ただ、見せしめ的にやられることは十分考えられます。)
それ以上に話をしたかったのは民事の問題なのです。
映像の著作権者が請求できるかどうかというのは極めて難しい問題なのです。
まず、「複製」に該当しないわけです。
さらに、仮に損害賠償請求ができるとしても、誰が閲覧したか、それを調査することが本当に難しいのです。
そのため、ストリーミングを見ている側からいえば、民事で突然訴訟を起こされるということは、ストリーミングを見ている限りは可能性は低いのです。
実は、私が言いたかったのは、XVIDEOSを見たほうがいいよという話ではなく、
善悪がはっきりしているからといって、責任を追及することは容易ではないということが言いたかったのです。
せっかく作り出したコンテンツがネットで流出してしまう。当然、勝手に閲覧をしている人は加害者で、コンテンツの著作権者は被害者です。
しかし、その事後的な責任追及は、現在の社会の状況では難しいのです。
ただ、そのような被害を避けるため、さまざまな方策を講じることはできます。
弁護士が関与して、事前によりよい方策を導き出すことができるのです。
予防法務というのは、まさにこのような先端的な問題に対処できる分野なのだろうと思います。
弁護士の杉浦智彦