500米ドル以上の動産売買契約は書面がないと支払いを強制できないことがある
UCCという、統一商事法典というアメリカのルールがあります。
このなかの§2-201(1)では、以下のようなルールが定められています。
§ 2-201. Formal Requirements; Statute of Frauds. (1) Except as otherwise provided in this section a contract for the sale of goods for the price of $500 or more is not enforceable by way of action or defense unless there is some writing sufficient to indicate that a contract for sale has been made between the parties and signed by the party against whom enforcement is sought or by his authorized agent or broker. (以下略)
【邦訳】
本条に別段の定めがないかぎり、価格が500米ドル以上の物品の売買契約は、売買契約がその当事者間で締結されたことを示すのに十分であって、強制が求められた相手方当事者による、またはその者が授権した代理人もしくは仲立人による署名がなされた何らかの書面がない場合には、訴訟または抗弁の手段によって強制することはできない。
このルールは、通称「詐欺防止法」と呼ばれています。
要するに、約5万円を超える物品取引は書面で書けよというルールです。
この「署名」には、電子署名を含むと言われています。
ただ、アメリカの企業と取引しても、書面がなければ支払いを拒まれたらおしまいなのです。
(例外があるので、最終的な救済ができる可能性がないわけではないのですが)契約書がなければ、勝負の土俵にも載せてもらえない可能性があるという点で、知っておいて損はない知識かと思います。
なお、このルールは、アメリカほとんどで適用されますが、ルイジアナ州などの一部地域では適用されません。
弁護士 杉浦智彦