VALUの利用規約を解説していく その5(第4条)
第4条 会員ID及びパスワードの管理
1. 会員は、当社が会員に付与する会員ID、パスワード等の管理及び保管を行う責任を負うものとします。
【解説】
ID、パスワードは、きちんと本人で管理してくださいねという定めです。
2. 会員は、会員ID及びパスワード等を第三者に利用させ、又は譲渡もしくは担保設定その他の処分をすることはできないものとします。
【解説】
第三者にID・PASSを使わせてはいけないという規定です。
ただ気になるのは「担保設定」ができないというルールです。
普通、SNSのアカウントを担保設定して、お金を借りたりすることは考えにくいですよね?
運営としては、このアカウントに、担保価値が発生する余地があると考えていることを示す規定かもしれません(通常のSNSだと、このような定めはありません。Facebookなども、譲渡の禁止のみです)
VALUの問題点の一つとして、資金決済法の「2号仮想通貨に該当するか」という問題がありますが、そことも関わってきそうです(これは別の機会に解説します)
3. 会員ID及びパスワード等の管理不十分、第三者による使用等による損害の責任は会員が負うものとし、当社は一切の責任を負わないものとします。
【解説】
パスワードの管理については、VALUが責任を負わないことが規定されています。
これが大きな問題となる可能性があるのは、別人がログインし、保有している”VALU"を払い出しし、現金化して別のところに振り込むということが考えられます。
ただ、これって、結局、ビットコインのウォレット側の問題なので、実際のところ、大きな影響はなさそうです。
4. 会員は、会員ID又はパスワードが第三者に漏えいした場合、又は会員ID若しくはパスワードが第三者に使用されている疑いのある場合には、直ちに当社にその旨を連絡するとともに、当社の指示がある場合にはこれに従うにものとします。この場合、当社はその会員IDやパスワード等を不正アカウントとして停止することができるものとします。
【解説】
漏洩した場合は、VALUに連絡すれば止めてもらえることが規定されています。
逆を言えば、ユーザー側は、問題が発生しても早期に止められるのですから、早く言わずに損害を拡大させた場合、その責任はユーザー側に求められやすくなる傾向ができることになるでしょう。
5. 会員は、定期的にパスワードを変更する義務を負い、その義務を怠ったことにより損害が生じても当社は一切の責任を負わないものとします。
【解説】
よくあるパスワード変更規定です。定期的にパスワードを変えないことで損害が発生したという証明は実際のところ困難な場合が多いですので、実質的には訓示(警告)規定と考えるのがよいかもしれません。
今回はここまで
弁護士 杉浦智彦