業務委託契約(請負)か労働契約(雇用)かどうかは契約書の言葉だけで左右されるわけではない
近年、「偽装請負」という言葉があるように、実質は雇用にもかかわらず、業務委託契約というタイトルにし、労働法の適用を回避する動きがあります。
しかしながら、文言にかかわらず、「雇用」と判断されれば、労働法は適用されることとなるのです(細かく言うと、労働基本法・労働契約法と、労働組合法では微妙に適用の範囲は異なりますが、ここでは無視します)
その区別については、30年以上前に労働省の労働基準法研究会が出した「労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)」(昭和60年12月19日)に従って判断されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000xgbw-att/2r9852000000xgi8.pdf
「こんな前の基準がいまでも適用されるのかよ」と言いたくなる気持ちはわかりますが、裁判所などでは未だにこの基準が有用となります。
ただ、「指揮監督」など、どのような場合に認定されるか曖昧であり、これだけ読んでも意味はなく、弁護士などの専門家にリスクを判断してもらうのがよいかと思います。
雇用ではないと思っていたのに、裁判で雇用と判断されてしまうと、残業代など、相手の主張するとおりに払うことになるかもしれません。
従業員を採用する前に、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士 杉浦智彦