あたらしい年号は契約書でどう取扱うのがよいか
再来年の5月1日、新しい元号となるようです。
ところで、契約書では元号を付けた年数を記載することが多いです。
その理由としていくつかあるのですが、その一つは
「作成されたタイミングがわかる」
というものです。
契約書に記載された日付というものは、実は何の裏付けもありません。
そのため、バックデートで契約書を作ることも可能なわけです。
たとえば、2つの契約書に、
A)「昭和63年4月から昭和66年3月まで貸すこととする。」
B)「昭和63年4月から平成3年3月まで貸すこととする。」
と書かれていた場合、どちらのほうが信用できるでしょうか。
答えはAなのです。
理由は、昭和63年の段階で、新たな平成という年号がわからないはずで、Bは平成が判明した以降に作成されたといえるからです。
このように、バックデートを推測させるという意味で、それなりの効果があったといわれています。
新しい年号は、事前に発表されると、この効果は薄れます。
それでも、一定の意味はあるわけです。
新しい元号になるまで、いまの「平成」という年号で数え続けても、法律上は無効となるものではありませんので、今の段階では、平成の年号で数えた結果を記載するのがよいのではないかというのが、「私」の意見にはなります。
(なお、弁護士のなかには、西暦記載を強要する人もいるので、あくまで、これは私だけの見解です)
弁護士 杉浦智彦