保証のややこしい手続を避けたい場合に「連帯債務」という選択肢もある
新しい民法の際、保証をするには公証役場に行かなければならないなど、それなりの負担があります。
これを回避する方法はさまざまありますが、
その一つの手段が「連帯債務」として、ただ内部の負担割合を100:0にしてしまう方法です。
一般的に行われている「連帯保証」は、ルール上、債務者よりも先に保証人に対して請求してもよいことになっています。
その点では、連帯債務と同様のルールになります。
ただ、連帯債務の場合、保証とは、いくつかの点で異なります。
保証であれば、主債務者に対して行ったことについては、基本的には保証人に対しても及ぶ(これを難しいことばで「付従性」といいます)のですが、
連帯債務になると、そうとも言い切れなくなります。
たとえば、お金を払えと債務者に請求しても、ほかの連帯債務者には「特約のないかぎり」請求したとはいえなくなるので、時効中断もしなくなります。
微妙な差があるので、弁護士のサポートがないと使いこなすのは難しいですが、保証ではなく連帯債務という制度を使う余地があるという事実は知っていて損はないといえます。
弁護士 杉浦智彦