従業員が同業他社に入社することを阻止できるのか
これは、「退職従業員の競業避止義務」と呼ばれる問題です。
会社の利益が保護されるようには思えますが、従業員の職業選択の自由の問題、さらに公正競争の問題も出てきて、複雑な問題になっています。
原則としては、従業員の利益が重視され、何の合意もないと、同業他社に入ることを止められません。
そのため、競業してはならないという合意しなければならないわけですが、ただ、それも、守られるか微妙なところです。
そのため、退職金の減額規定が設けられることがあります。
ただ、退職金の全額減額は裁判例では否定されています。
実務上の基準は(根拠不明ではありますが)半分までと言われています。
また、競業避止義務の期間が長すぎても、規定は無効となります。
そのため、バランス感覚が非常に重要となるのです。
弁護士 杉浦智彦