事業承継の税制が変わろうとしている(2)
事業承継税制が大きく変わろうとしています。
平成29年12月22日に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」では、事業承継税制の特例が、10年の限度で創設されようとしています(同30ページ以下)。
今回は要件の話です。
いくつか類型がありますが、代表権を有する者からの譲り受けの場合の要件を説明します。
「①特例後継者(仮称)が、②特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者から、③贈与又は相続若しくは遺贈により当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合」には、
その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予してもらえることになります。
②の「特定認定承継会社」とは、ざっくり言えば、国の認定支援機関の指導助言を受けて計画書(←これを「特例承継計画」といいます)を作成している会社ということになります。
①の要件の「特例後継者」とは、
特例認定承継会社の特例承継計画に記載された当該特例認定承継会社の代表権を有する後継者(同族関係者と合わせて当該特例認定承継会社の総議決権数の過半数を有する者に限る。)であって、当該同族関係者のうち、当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者(当該特例承継計画に記載された当該後継者が2名又は3名以上の場合には、当該議決権数において、それぞれ上位2名又は3名の者(当該総議決権数の10%以上を有する者に限る。))をいいます。
これだけだと、何を言っているかわかりませんが、
①特例認定承継会社の特例承継計画に記載された当該会社の代表権を有する後継者で
+
②同族関係者と合わせて同社の総議決権数の過半数を保有し
+
③当該同族関係者のうち議決権を最も多く有する者
or
③’当該特例承継計画に記載された当該後継者が2名又は3名以上の場合には、その当該議決権数がそれぞれ上位2名又は3名の者で当該総議決権数の10%以上を有する者
と分解し
①+②+③
か
①+②+③’
であれば、満たすと考えていただければよいでしょう。
これでもよくわからないという方も多いと思います。
そんなとき役立つのが弁護士です。
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弁護士 杉浦智彦