商事留置権による土地の占有
平成29年12月14日、最高裁で、「商事留置権の対象に不動産が含まれる」との裁判例が出ました。
これは、商事留置権の「物」に、「不動産」が含まれるかということで従来議論されていた論点でした。
判決が出てしまえば当たり前に聞こえますが、
従来は、東京高等裁判所の裁判例(「町田決定」と呼ばれていたもの)があり、商事留置権の対象に不動産が含まれないのではないかという議論もありました。
しかしながら、結局、土地も商事留置権の対象になることが明らかになりました。
ただ、この争点の中心は、
「土地をどうやって占有するのか」というところなのです。
この町田決定は、土地の上に建物がなく、周りを板囲いでかこって、それで看板をたてたのは「占有」とはいえないという部分が中心の判断でした。
この判断もあり、今後は、「占有」していたといえるかは依然として争われることになりそうです。
弁護士 杉浦智彦