「請負」「雇用」「委任」はどう区別するのか
民法が改正されるわけですが、その改正でより複雑な問題となったのが
「請負・雇用・委任をどう区別するか」ということです。
請負というのは、仕事の完成に対価を払う約束です。たとえば、建物を立てる(仕事の完成)に対価を払う建設請負契約などがこれに該当します。
雇用というのは、だれかの指揮命令に服して労働し、それに報酬を払うことを約束することです。たとえばコンビニのアルバイトだと、店長の指示(指揮命令)に従って労働し、それに賃金(報酬)を払うというような形です。
委任は、ある行為をすることを委託する約束です。結果は問いません。たとえば、弁護士のしごとは委任と言われているのですが、これは、最善の結果に向けて尽力することが仕事で、「勝つ」という結果を請け負っているわけではないのです。
ざっと書くと、こんな感じですが、物事はそんなにシンプルではありません。
請負でも、業者に指示を出すはずです。雇用との差は、案外あいまいです。(だから、偽装請負みたいな話が出てくるのです)
委任と請負も、差があいまいです。結果を求めているのか、それまでのプロセスを求めているのかという部分もありますが、完成途中で報酬を払う請負契約もあるわけで、何に対価を払っているかを考えるのはとても難しいです。
裁判例でも、契約書のタイトルを見るだけではなく、仕事の内容などから、当事者の意思を推定していき、どこかに振り分けています。
結局、ケースバイケースだといえるでしょう。
弁護士 杉浦智彦