短い取引契約書にすることは、取引の実態がわかっていないと難しい?
私のところに、よく「A4紙に1~2枚程度で取引契約書を作ってもらえませんか」なんていうオーダーが来ます。
専門家としては、取引の本質部分(たとえば、売買のときの物・値段・受け渡し時期)についてだけ書けばよいなら、それで済むのですが、契約書を作成したいという場合、さまざまなリスクに対応することが想定されているように思います。
「もし、訴えられたらどうしよう」という抽象的な不安から、
「もし、思ってもいないようなことで、不具合を主張されたらどうしよう」ということまで、
いろんな悩みを解消するには、本来はA4の1~2枚に収めることは困難ではあります。
ただ、わかりやすく、しかも、読んでもらえる契約書の限度が1~2枚というのも、非常によくわかるところです。
そのため、リスクが高くない部分を削る、または、法律の規程に委ねる形でリスク配置をして、契約書を短くしていくのです。
それは、具体的にどんなリスクが発生しやすいか、そのヒアリングが不可欠といっても過言ではありません。
短い契約書を作るためには、ふつうの契約書作成時間にかけるヒアリング時間の何倍もの時間がかかっているように思います。
弁護士 杉浦智彦